妊娠中の患者様によくご相談をされることで、「鍼灸を受けても良いものなのでしょうか?」と聞かれることがあります。
結論から申し上げると、ご安心して受けていただけます。
正しい方法で行えば、体調不良の心配もありません。
特に妊娠初期には体への刺激に対し不安を感じられることがあると思います。
たしかに、妊娠初期には禁忌とされている施術部位や、流産の危険があるため避けた方が良いとされているツボがあります。
※体への影響が強いのではと考えられるツボとして以下のツボがあげられます。
○三陰交
足関節内側にある内踝の上に位置するツボです。踝の中央部分に置いた指から数えて4本目の場所にあります。
陣痛を促進する効果のある三陰交は、妊娠初期に刺激してしまうと子宮が収縮する可能性があるともいわれているため、安定期に入っていない妊婦さんには強く押さえてはいけません。
ただし、生理痛、生理周期の乱れ、便秘などの改善に効果があるほか、逆子にも効果があるといわれているため、安定期を過ぎたらお灸をおすすめします。
○太衝
足の甲、親指と人差し指の間の下にあるツボです。両指の骨がひとつに繋がるところの、最もへこんだ部分に該当します。
三陰交と同じく陣痛を促す効果があるとされており、妊娠初期の妊婦さんには禁忌の足つぼです。一方で、足の疲れやむくみを和らげる効果もあります。
○反射区、湧泉
反射区は踵の膨らみに該当する足つぼで、生理を促す効果あります。
湧泉は、指を折り曲げた際、人差し指の下部にできたくぼみにある足つぼ。血流促進やむくみ解消、便秘などに効果があります。
どちらも子宮に働きかけて胎児に影響を与えてしまう可能性があるため、妊娠初期の妊婦さんには禁忌のツボとされています。
これらのツボに関して5ヶ月を過ぎ安定期に入るまでは体への影響を考慮し強い刺激に関しては注意が必要です。
危険性のあるツボはもちろん、鍼灸治療に関しても、ほとんど刺さず皮膚の表層に刺激をあたえて治療をしていきます。
ツボへの刺激は強い刺激を与えることだけが良い治療ではありません。
その方の体調に合った刺激の強さで刺激を与えることで体が本来持つ自然治癒力を高めることができます。
妊娠初期の治療で気になることは、【鍼灸をしたがために流産につながる可能性があるのか?】
【鍼灸をすることで流産の予防になるのか?】
などではないでしょうか。
まず【鍼灸をしたがために流産につながる可能性があるのか?】についてですが、妊娠初期の流産の原因は受精卵の染色体異常です。
この場合は着床して、しばらくお腹の中で育つことができたとしても、最終的にはほぼ流産となってしまいます。
このように、受精卵の染色体の異常が原因の場合、鍼灸治療で流産の防止をすることはできません。
流産の原因と母体の行動は関係のないことがほとんどないので、鍼灸治療を正しい知識を持って、適切な治療を行えば妊娠初期の鍼灸は安全だと言えます。
次に【鍼灸をすることで流産の予防になるのか?】についてですが、母体側に、必然的に流産を起こしてしまう原因がある場合も流産を防止する事が難しいように思います。
鍼灸治療は副交感神経が優位にします。例えばお母さんがストレスを受けると、交感神経が優位になります。交感神経が優位になると血管を収縮させてしまうため血流が悪くなります。
そうなることにより、子宮の血流が悪くなります。身体はまず自分の心臓へ血流を届けるため、結果子宮へ届きにくくなります。
鍼灸治療は副交感神経を高めることにより、母体のストレスを緩和さぜ子宮への血流を調節することができます。
妊娠中は足のむくみや、精神的な不安を抱えやすいと思います。
当院は可能な限りの技術で新しい命の誕生を応援します。
どんなことでもかまいません、なにか困ったことがあればご相談下さい。
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